泉州むかし話

このページでは、大阪泉州地方に伝わっている民話を紹介しています。
今回は怖い時に言う、くわばら、くわばらの由来です。




 現在の和泉市に桑原という所があります。
 今回のお話はその地名より現在も使われている言葉のお話です。

 うだるような厚いある夏の昼下がりのこと、遠くで雷鳴がしていた。
 このところ日照りが続き農民たちは困っていたのでどちらかと言うと
 雨を歓迎していたところ、土砂降りの雨となり、目もくらみそうな
 稲光がしたと思うと、耳をつんざくような雷鳴がとどろいた。

 農民たちはある家の軒下へ逃げ込んだ。
 「今日の雷は久しぶりに大きかったな。きっと近くへ落ちたのにちがいない」
 とさっきの雷の話をしていた。

 ここは和泉国郷荘村桑原という所である。
 やがて雷も遠のき農民たちもほっとしていたその時、雨音に混じって
 「助けて下さい」という悲しそうな子供の声が聞こえてきた。
 農民たちが声の方へ行ってみるとその声は、「桑原の井」という
 井戸の中から聞こえていた。

 皆は急いで井戸の周りへ集まった。その時、子供が苦心して井戸の口まで
 這い上がってきたところであった。
 驚いた農民は「お前はどこの子か、このあたりでは見かけない子供やのう」
 と言うとその子供は「実は雷の子供です。雲の上で遊んでいたところ、
 足を踏み外して井戸の中へ落ちてしまいましたのでどうぞお助けください」
 と言うが農民は今まで雷に苦しめられていたので「雷の子供と聞いては助ける
 訳にはいかない」と言うと雷の子供は「どうか井戸から出して下さい。
 とうちゃんやかあちゃんも自分の帰りを待っています。自分が死んだらどう
 悲しむやら」といかにも悲しげで、哀れなので井戸から助け出してやった。

 「おおきに、ありがとうございます。このお礼になんでもさせていただきます」
 と言われたがこんな子供にはなにも出来ないと思い「雲の上へ帰ったら二度と
 このあたりへ落ちないように、とうちゃん、かあちゃんによく行っておけ」

 雷の子供は喜んで「自分のとうちゃんは雷仲間の大将なのでどんなことが
 あっても落ちんように仲間の雷にも言いつけてもらいます。

 しかし、このあたりへ落ちるなと言われてもここがどこか知りません。
 「ここはなんという所ですか」「なるほど、それもそうやここは桑原という所で、
 お前の落ちた所は桑原の井という井戸だ」「わかりました。今後雷が鳴り出したら、
 くわばら くわばらと言って下さい。そうすればそこへは落ちません」
 その後、この地方には落雷がなくなったとのことです。

 よく怖いときに「くわばら くわばら」と言いますがその由来は、
 和泉市の地名桑原からきたとの民話が残っています。







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